21年6月に発刊された12編の短編集。とは言うものの中編に近い物語もあって、500頁近くもあります。主にエッセイ風ガリバー旅行記という印象を受け、要するに作家本人を出汁にして体制問題や汚染問題を画いてます。
でも文体は非常に上手で構成も良く展開も心得ているから、ガリバー旅行記と同様に物語として十分に面白く、農家や鍛冶屋の描写は映画のように見えて驚きます。なんだかディケンズとデュマがいるようで、ハラハラドキドキした連続ドラマや涙ぼろぼろの人情ものなんかを描いたら釘付けになりそうで、代々幾千年も読み継がれることだろう。