もうダメかも 死ぬ確率の統計 マイケル&デイヴィッド 著 松井信彦 訳

  なんだか衝撃的な題名なんだけど、読むと現代は安全になったんだと変に楽観的になるところが面白い。統計学と確率のジレンマみたいなところがあってこれまた面白い。


 学者さんが統計を基に考え方の違う3人の人生を物語風に描いて、死ぬリスクを勘定している。お世辞にも文章が上手いとは言えないのだけど、かえって真実味がある。

 英国で外部要因並びに自殺を含めた死亡者が年間18,000人、それを人口で割って日当りにすると百万分の1になり、これを1マイクロモートという単位にして、交通事故やスポーツ、戦争などの死亡数から各々のマイクロモートを算出している。どうも病気は対象ではないらしい。

 ちょっと驚かされるのは、出産時に母親や子供の無くなる率が良くなったのは20世紀前半からで、意外と最近だったこと。それまでは、危険な部類に入ってた。本当に生むのって命がけだったんだ。

 普通に生きていても1日過ごすのに1マイクロモート積算される。スカイダイビングをすると1回7マイクロモート、フルマラソンをしても実は7マイクロモートと同じなんですね。空の方が率が悪いと先入観を抱いてました。

 でもここで素朴な疑問が、毎日10年間スカイダイビングやフルマラソンして、普通に過ごす分を含めても約3万マイクロモートにしかならない。もし、百万が死亡率100%だとすると、とても死ぬことはなさそう。でも毎日フルマラソン走るような人はいないし、走ったら練習で疲れてしまう。

 そう考えてみると、結局のところ何が起こるかわからないわけだ。