ピッカリングのカートリッジXUV4500に付いている針はD5000で他のカートリッジの針だったため、XSV3000の針を使って聴いていた。XSV3000はXUV4500の2ch版で、これはこれでいいのだけど純正はシバタ針なので、ついつい交換針を買ってしまった。
シバタ針は4chサラウンドを実現するために開発されたコンタクト針で、これを2chで聴いても細やかに音を拾う優れものです。オーディオテクニカのAT33Saもシバタ針で、実に緻密な音がするために誘惑されました。
すでにピッカリング(米国)はありませんけど、JICO日本精密宝石工業が交換針を出してくれていてありがたいです。新品の針とピッカリング特有のブラシがセットで送られてきました。ブラシを付けずに交換です。
カートリッジが旧くて違う針が入れてあったせいなのか、僅かに緩いのでボディと針のプラスチック部分に紙を挟み込んでみました。XSV3000も緩いのでそういうものなのか、精度が甘いのかは分かりません。
さっそくレコードを掛けてみます。針圧は1.0gと軽量なMMで、針の沈み込みはほとんどありません。XSV3000の方は沈むのでダンパーが新品な分だけ、しっかりしているのでしょう。
緻密でサラッとした音が拡がります。XSV3000の針の方が僅かに穏やかで優しい感じで、音の硬さがありますがオーケストラの各楽器をよく分離しているようです。兎に角フラットで味付けらしいものは感じず、ドンシャリな音が好まれる傾向なので、それと比べると物足りなさを感じるように思います。
レコードを何枚か替えてみると、静電気を起こしやすい盤との相性は良く無くてチリチリ音を拾ってきます。シバタ針で軽圧、しかも軽量アームなのが相性を悪くしているのかも知れません。そのせいか、録音の質によっては高音域で神経質な面が出ます。軽圧=軽量アームと言われますが、ハイコンプライアンスでないと合わないように思います。XSV3000の針では沈みますが、D4500Qでは全く沈みません。経年劣化の問題なのかも知れませんが...
ダンパーの硬さも気になるので、針圧を重めに回してゆきます。ぐっと落ち着いて緻密な割に腰の軽さが気になっていたのが消えて、実に健やかないい音になりました。緻密さがそのままで、低音域の張り出しも出てきて音域全体の拡がりもよく、MMらしい円やかさと相俟って音の分離の良さがありながら、音のつながりがいいです。MCを超そうとして作ったMMのように思えます。