化学の授業は料理番組の中ではじまるのです。1960年代でウーマンリブが起こった時代に即した抱腹絶倒、喜怒愛憎に満ちた物語でした。
章の数ほどに笑える面白い物語で本屋大賞にイチオシしたいです。パワハラやセクハラも人の嫌な面も大々的に出てくるのですが、それがより笑いにつながっているのは確かです。そういう笑いの中に根拠のない通念や差別、不平等が深達に届きます。
構成や展開はピエール・ルメートルを彷彿とさせるドラマチックな装いでよく考えられていますし、惹き込まれるエネルギッシュな書き味にも感嘆します。番組を観ていた女性がみな応援したくなるのはよくわかり参加してしまうところがいいところだと思います。
ウーマンリブというのは日本では少し違った意味合いになっているような気もしますが、本の中では子育てが一番大変なのだと書かれており、専業主婦夫もまた社会貢献における地位向上があってしかるべきなのでしょう。
物語は530ページになりますが、ほどなく読み終えてしまい、もうちょっと読みたいなぁと思わせてくれました。