百年の孤独を書いたマルケスの遺稿らしいので読んでみた。百年の孤独とはガラッと違って情事を書いた物語で作家に抱いていたイメージはどこにもなくて驚いた。
家庭はわりと裕福で娘の希望する道に戸惑いを見せているものの仕合わせな中年の女性が母の墓参りに島へ毎年八月に帰る。その時に日常とは違うアバンチュールへと誘われる。とても日常的な中に起きた出来事から日常を逸脱し日常の端境を描くのかと思いきや違う展開に…
遺稿とはいうものの存命中に発行されたものではないことが初めに書かれている。話として未完ということではないようだ。読みやすく日常の中のミステリアスとしてよく書かれているのだけど文体にエネルギーを感じないのは、百年の孤独と比較してしまうからなのだろう。でもそれが存命中に出さなかった理由にも感じられる。
読み終わった時に三島由紀をの美徳のよろめきを思い出した。