コレラの時代の愛  G・ガルシア=マルケス 著 木村榮一 訳

  コレラがカリブ海の南米に流行ったころに半世紀に渡る男女三人の恋の物語。


 ある青年の片想いから始まる愛する女は他の男性と結婚してしまう。その男性が亡くなる時まで女性を慕うのだが、初心な話にはならず未婚のままだが女性遍歴は数多く、70歳を過ぎても意気盛んと驚くばかり。しかも相手は未亡人の年寄りから少女までとえげつないにも関わらず、一人の女性を慕い続けるせいか、変質者のようには描かれていない。
 結婚した男性の話は主に結婚生活なのだが、これがかなりリアルな情景で見事な筆致で綴られている。百年の孤独を描いた作家とは思えないぐらい現実的なのには少々戸惑う。
 終わり方もあっけにとられ、人生の通り実にタフである。