生前の記憶を宿す少女が月の満ち欠けのように整然と連なる話、読み終えるとただ単に虚しさだけが新月に漂うばかり。
4世代のわたって恋焦がれる人に逢うために生まれ落ち輪廻転生を繰り返すのだけど、そのころに相手は還暦近くになり、孫ぐらいに離れている。それでも容姿が似ていればいいのだけど、血筋は違うのだからどうなのだろう。記憶だけがあれば同じ人だと言えるのだろうか。
話の内容は1世代目の不倫な恋愛が主でなぜか各世代は会う前に不幸な事故に巻き込まれてしまう。ホラーのようだけど、出来事を物理的にレポートされるだけで、なんの空気感もない。これなら3世代目の元の旦那との事件を主題にホラーにしてもらった方がよほどスッキリするのだけど…
記憶は繋がれても性格はどうなのだろうか?4世代目のひねた性格は1世代目と同じだったのだろうか?焦がれる相手に会った後に2世代目の父親を呼び出す必要は無かった、それは伏線を表明するためなのだろうが、それなら最終章は不要に思う。
ここまでくると執念というよりは怨念だし、人生の乗っ取りで傀儡にされるのは虚しい。