2021年に買って音質のよかったアルバム

  最近はデジタル音源を買うケースが増えてきました。レコードは欲しくても新譜では少ないし、あっても高価なんでデジタル音源になってしまい、CDだと中古でとても安く買える時に購入するパターンです。

 デジタル音源の購入先は主にHDtracsになることが多く、四半期ごとぐらいに全品割引セールを行ってくれます。尚、Hi-Reso New Releaseだと毎週20%引きのクーポンを送ってくるし、カートに入れたまま忘れている(買うか迷ってる)と特別クーポンを送ってくることもあってマメな商売をされてます。

 2021年に少ないながら買ってよかったと思う音楽アルバムをデジタル音源、CD、レコードに分けて記録しようと思います。


【デジタル】

 昨年の中で一番ビックリしたのは、Channelclassic.comで買ったイヴァン・フィッシャーのマーラー #1 です。DSD256の音源ですが、素晴らしいデジタル録音を腕の良いアレンジャーがミキシングするとこうなるんだと感心してしまった。静かに唸るように響く部分から強く突き抜けるように立ち上がるところなんか、押し寄せてくるエネルギーに圧倒される。それほどダイナミックレンジは広いし、楽器の一つ一つの位置が見えるように分離するのに音楽は一体となって心地良いのにまた驚いてしまう。


 AK4499チップの良さと相俟ってDSD256の魅力を感じるのは、意外にも高音域の部分より低音域の部分だと認識を改めることになった。ハイレゾは聴感域以上の高音があり、その倍音効果が良いとされているけど、演奏や録音、ミキシングが素晴らしいと音の密度がエネルギーとして伝わってきてコントラバスの静かな弦の響きやバスドラムの打ち込み音も質感がまるで違います。

 音源の良さもさることながら、イヴァン・フィッシャーとブタペスト祝祭管弦楽団は静かなメロディラインの中に丁寧で重厚な響きでゆったりとしたテンポでエネルギーが沸々と揺らいでくるのが心地良い。

 それからクラシックではスザンナ・マルッキ指揮、ヘルシンキハーモニー管弦楽団のバルトーク、弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽と管弦楽のための協奏曲です。BISレーベルでCHANDOSのサイトが割引していたので買おうと思っていたら、HDtracsも割引になったのでHDから買ってしまった。


 バルトークの現代音楽らしさが堪能できる骨太な良い演奏です。音源は24bit 96kHzのPCMで、最近の録音のものはデジタルtoデジタルなせいか、楽器のセパレーションがはっきりするように思えます。バルトークは弦と打楽器の音の絡み方が綺麗だと無調っぽい部分がリズムの中に溶け込んで楽しくなる。

 ジャズではロンドンのサックス奏者ビンカー・ゴールディングのアブストラクション・オブ・リアリティ・パスト・アンド・インクレディブル・フェザーズという長いアルバムタイトルだけど、内容はサックスを吹きまくる痛快なジャズ。バップなどの融合な音が多いなかで、すがすがしいほどのサックスプレーでウィントン・マルサリスの若い時を思い起こした。24bit 96kHz PCMでダウンロードしているが、音圧が高めに入っているのは現代のCDでも同じで、携帯からイヤホンで聞いてもアンプの弱さがでないよう補っているのだろう。


 もう一枚はジャズとは縁遠そうなイスラエルからピアニストのシャイ・マエストロの作品Humanです。ピアノ、トランペット、ベース、ドラムのカルテットが織りなすサウンドはジャズの枠を超えてアートミュージックと呼んだ方がいいのではないだろうか。神秘な森の中に光が差し込み、水が湧き出る窪みがある空間を揺らぎながら飛び回る映像とともに流れてくるようなかと言って、主旋律があるのでもなく様々な音の組立が響いてくる。


 こちらも24bit 96kHz PCMで、ボリュームを大きくすると床を伝わって音が顕われる。音圧は特段に高いわけでもないが低くもなく音の粒立ちは細かく良い録音です。優れたデジタル音源音源が増えてきており嬉しいのですが、昨今の円高が気になるところです。


【CD】

 古いソースの場合は、とりあえずCDの中古を見てみます。1円というものあって送料でちょっと稼いでますが、それでも500円でお釣りがきます。盤面も綺麗で音質問題にであったことはありませんので、コスト的には抜群です。

 クラシックではリヒテル&ブリテンのピアノデュオⅡです。これはⅠもあるのですが、高かったので入手できておらず、中古が安くなったら買おうと思います。リヒテルはロシアの有名なピアニスト、ブリテンはイギリスの作曲家、指揮者、ピアニストと多芸な方でブリテンの家へリヒテルが来たときに、ブリテンが主催者の一人であるオールドバラ音楽祭に出ることになり、シューベルトのピアノ連弾曲を披露してくれます。


 教会でのライブ録音で、聴くと教会の響きの良さがよく分かります。自分の部屋も吹き抜けにして屋根を高くしたいのですが夢物語ですね。リヒテルの凛とした音が教会に気持ちよく響き、ブリテンの落ち着いた音が安定した心地良さをかもしてくれて、シューベルトの他の曲でも聴く旋律がほほえましく聴こえます。鳴りやまない拍手の響き方も録音の良さがわかり、DENONレーベルは質が高いです。

 次にウィーン室内合奏団のベートーヴェン7重奏曲、1992年のPCMデジタル録音です。創設者であるゲルハルト・ヘッツェルはウィンフィルのコンサートマスターでもあり、彼の柔らかなヴァイオリンの旋律がこの曲の朗らかさと相俟って心がほんわかと活気づいてくるのが面白いです。収録を行った後に山の事故で亡くなられているとのことで実に残念でなりません。


 ベートーヴェンは重苦しい所がってあまり好きではないのですが、この曲はそういうベートーヴェンらしさが無くて若々しい陽気さがあって愉しい曲だと思います。

 ジャズでは女性ヴォーカルで1枚目は、メロディ・ガルドーのMy One and Only Thrillです。つぶやくように優しく歌われる声を聴いているだけでもうっとりきて、プロデューサーが彼女の魅力の挽きだし方が絶妙です。一度聴いたら頭の片隅に消えることなくこだましているように残ります。


 2009年の作品ですが、珠玉の1枚で時を経ても新鮮な味わいを醸してくれます。しっとりとした情感が緩やかに流れるジャズサウンドに包まれて暗くほのかな灯をてらしているように感じ、音の雰囲気が心地良い録音です。

 そしてもう2枚目は、ホリー・コールのDon't Smoke in Bedです。黒いストッキングで脚組したジャケットの妖艶な姿なのに奥底まで覗き込まれるような視線が印象的です。なぜかEMIジャパンから発売されているCDは違う写真で、Blue Note Recordsの方がいいですね。

 ドラムのない曲はヴォーカルの魅力とセンスがフューチャーされるように思います。オスカーピーターソンとエラの二人だけのレコードを聴いた時も唄の上手さに挽きこまれましたが、ホーリーの唄も透明で力強く、映画のキャバレーのホールを想い起しました。


 1993年の発売ですから古いのですが、こちらも時の流れを止めてくれます。ちなみにガルドーもコールも自動車事故で重傷から立ち直ってきたことに生気を感じさせてくるのでしょうか。コールのテネシーワルツを聴くたびにジ~ンと感傷に耽るのです。


【レコード】

 ロックからも1枚、ロック史上最高のギタリストと言われるジミ・ヘンドリックスのデビューアルバム、Are You Experiencedです。白いストラトキャスターを左利きにして弾く姿は何回も観たのに音源は持っていませんでした。


 今回、Sony Legacyレーベルが出した米国バージョンのリマスター盤を買ったのですが、これがいい音で、しかもレコードです。US版は1曲目がPurple Haze、3曲目がHey Joe、これを聴くとウッドストックの姿や歯で弾くプレイが眼前と蘇ります。エフェクタを駆使したギター音はここに始まったような気がします。

 クラシックは買ったのではなく、カミさんの旧いレコードから発掘したもので、ベートーヴェンの大公トリオで何気なしに聴いてみたら、録音がすごく良いのです。帯にPCM録音とあり、DENONが発売した高音質レコードでした。レコードを入れるビニール袋も専用らしく、折り返しをきちんと外側へ出すように指示されています。


 演奏はスークトリオで、ヴァイオリニストのスークはドボルザークの曾孫だそうです。だからといってボヘミアン調になることはなくて、ベートーヴェンらしいカチッとして重心の低い音なんですが、透明感のあふれた雰囲気がベートーヴェンの暗さを透き通らせているように聴こえます。

 ジャズで良かった1枚はジュリアン・レイジのsquintです。訳すと斜視、見間違いと出ます。ドラム、ベース、ギターのトリオで目茶苦茶楽しくギターを弾いてくれて心地よく、ジャズでギターというとフルアコが多いのですが、ジュリアンはテレキャスターなんですよ。ジミ・ヘンドリックスやスティービー・レイ・ボーンもトリオでギターがずっとリードしてフューチャーされるのはトリオがいいですね。

 テレキャスターと言えば、ロイ・ブキャナンを思い出しますけど、それよりちょっと音の響き方が低いような気がして一音一音が綺麗にピックされてゆく様がブルージィーな曲調と相俟ってジャズと言うよりはロックではないかしらんとも思えます。


 2021年の発売なのにレコードを出してくるのは涙ものです。なのにレコードを返すときに落として傷が入り落ち込んでます。180gの重量盤なんですが、どれも静電気が付きやすいのは材料のせいなんでしょうか。

 それでもレコードに針を落とすとそんなことは忘れてしまい、いぶし銀のようなサウンドに浸りながら、Saint Roseが始まるとぐっと乗り出してしまいます。

 レコードはカートリッジやトランスやフォノイコライザーの組合せでも音色が変わり、意外とレコードの向き不向きが出て、同じレコードなのにテイク違いを複数持っているようで面白いです。

2022年に買った音質の良いアルバム

2020年に買って良かったアルバム