2022年に買った音質の良いアルバム

  2022年はウクライナでの戦争に始まり、物価上昇によるインフレが進み動乱の一年でしたが、大谷選手を応援し、サッカーを観て喜び、音楽を聴いて住ごせることに感謝します。

 相も変わらずアナログのLPを買っていますが、音質的にはDSDで録音されてDSDで発売されているデジタル音源を聴くとさすがにDSDの方が安定してよいアルバムが多く、特に無音時の静けさが聴感に大きくかかわっているように思えます。

 ヘンデルのオペラ『アルチーナ』をNHK FMで聴いて買ったのですが、盤面が綺麗で音質も良く、ジョン・サザーランドの声量のあるソプラノが響きます。1962年のDECCAの録音は総じて優れているようで、これもその一枚だと思います。でもちょっと風変わりなレコードで3枚組なんですが、1枚目の表はNo.1は当たり前です、でも裏側がなんとNo.6でエンディングの面なんです。ですから、続きを聴くためには2枚目の表を聴いて次に3枚目の表を聴き、裏返して帰ってくるというパターンに初めて出会いました。世の中は面白いです。

 そして、中古で買ったソニー・スティットのStitt in with The Oscar Peterson Trioが実に鮮やかなサックスの音色でソニーが気持ちよく吹いているし、ピーターソンにピアノが彩るように描かれ、レイのうねるベースは迫力があり、エドのハイハットを叩く響きに惹きこまれる。

 ジャズの2枚目はクリフォード・ブラウンの180g重量盤。名アルバムのStudy in Brown、モノラルだけど音が綺麗でCDにした時のソースのように思える。でも、アナログのゴリゴリした感じが出ていてブラウンらしさ全快です。ただ、この180g重量盤は静電気に悩まされることが多いのが玉に瑕、紙ケースにポリエステルの袋が着いているのだが、このポリ袋との相性も悪いのでポリ袋を剥がしている。

 次はCDだけど、ブリテンとリヒテルの連弾ピアノ。ブリテンが主催するオールドバラ音楽祭でのライブ録音、教会の中で生々しいライブ感があって二人のピアノが生き生きしている。二組のCDが出ていて、1はモーツァルト、2はシューベルトになっており、1は中古でも高かったので買えていなかったものが少し安くなったのでやっと買いました。リヒテルはブリテンに誘われて家で歓談しているうちに話が盛り上がって音楽祭に出ることになったらしいのですが、ピアノでも意気投合してますね。

 またもクラシックですが、ヨハンナ・マルツィのコンプリートアルバムが再販されました。1950年代に活躍したヴァイオリニストでNHK FMが特集したときに聴いたバッハの無伴奏ヴァイオリンのためにソナタとパルティータにうっとりしてしまい買いました。モノラル録音なんですが、リマスターされてよい音になっています。CD9枚の内、3枚が協奏曲で何故かオーケストラの録音はあまり芳しくありません。でも、バッハとシューバルトの6枚はヴァイオリンのやわらかさとふくよかさに夢心地です。

 ジャズの女性ヴォーカルが好きでマドレーヌ・ペイルーのCareless Love 2004年30歳のときの一枚です。南欧の雰囲気のあるゆったりとりてノスタルジックな唄い方にスコッチをちびちびとやりながら眼をつむると彼女が頬杖をつきながら座っている眼と眼があってしまう。放浪癖のある暮らしがそこはかとなくMinima FM2から滲み出して、帳の中に電球がほのかにともる。

 ソニー・ロリンズのTenor Madness、コルトレーンとロリンズが唯一共演した楽曲で実に楽しい。CDにした時にリマスターしていると思え、コンプレックスが効いていて音がグワァとはみ出してくる。二人の熱のこもったテナーサックスの音色が響き、チェンバースとフィリーのリズムセクションがしっかり支えている。コンプレッションが効きすぎて誤魔化されているのかもと思うのだけど、やっぱりリマスターエンジニアの手腕が大きいのだろう。

 最後はデジタルソースから、Pure DSDと書かれていて内容をみると録音がDSDでソースもDSDを指すようだ。ミキシングなどの編集時にはPCM変換するしかないように思えるのでPureと言うのはと思ってしまうが、ついついひきこまれて買ってみた。ショパンのピアノ曲集、1990年ウクライナ出身のアンナ・フェドロヴァのSHAPING CHOPINです。題名通り研ぎ澄まされている旋律が綺麗に浮かび上がり、そのなかにほのかにともる優しさと温かみを感じる演奏です。購入したソースはDSD64で、レーベルはCHANNEL CLASSICSでいつも質の良い音楽ソースを提供してくれます。

 次の一枚もピアノ曲です。Gergely Bogányiのシューマン 子供の情景 Op.15これも録音はDSD256です。ゲルゲイ・ボガーニは1974年ハンガリー生まれで、ピアノをカーボンコンポジットで作ってしまうクリエーターでもあります。そのピアノで弾かれたシューマンはおおらかでどことなく夢心地になり低音部の響きがとても良く、カーボンコンポジットの剛性の高さが寄与しているように思えます。シューマンの曲ってつかみどころがなくなる自分なのですが、録音の良さが幻想的な響きの中に招いてくれます。こちらもソースはDSD64で、レーベルはブタペストに本社があるHunnia Recordsです。

 さて終わりにジャズ、チャールス・ロイド&ザ・マーヴェルスの『トーン・ポエム』です。チャールス・ロイドはサックスの巨匠と紹介されてますが、残念ながら知りませんでした。1938年生まれですから、録音は2020年なので82歳になりますが、年齢を感じさせない艶のある音色に落ち着きがあって穏やかな気持ちにさせてくれます。

 なんて言うのでしょう、リズムの和が心地よくメロディラインの柔らかさの中にゆるぎない力強さを感じて身を委ねる安心感があるのです。そして、2本のギターがこれまたいいんです。この2つのギターの絡みを聴いているだけでも愉しいです。ロイドの作曲は3曲で他の6曲はオーネット・コールマンやセロニアス・モンク等のカバー曲になります。

 PCM96kHz24bitのソースでコンプレッションも効いてますので、音圧は高めです。各楽器の音がきちんと配置され分離感も高く、演奏の雰囲気が上手く表現されています。


2021年に買って音質のよかったアルバム