『やっと訪れた春に』を読んでみた   青山文平 著

  江戸中期における時代劇かと思いきや、現代風の推理小説に入るのではないかと思う。文章はシンプルな中に薫る空気感を漂わすことのできる好文で愉しく軽やかです。



家の本を読んでみた  アンドレア・バイヤー二 著 栗原俊英 訳

  かなり驚く本だと思う。なにせ名前が出てこない、だから主人公の名前すらわからない。そして亀の名も書かれない。父とか祖母とか妻で呼称していて、それである意味十分であり、なぜかたまに出てくる亀が妙にひかる。


AI 2041を読んでみた カイフー・リー チェン・チウファン 著 中原尚哉 訳

  AIの進歩により、日常生活がどのように変わっているかを10のテーマに分けてSF風短編小説に描いている。単にAIの技術的変化と効能について述べられるより、身近な生活空間に活きる人の息遣いがリアルなイメージを湧きたててくれる。

 著者は中国のインターネット黎明期にGoogleで活躍した二人で、一人はSF作家に変身しており、文章のテンションと展開の妙はSF小説として読んだだけでも面白い。

 自動運転は残念ながら2041年になってもレベル5に到達していないようで少々以外であった。そうであっても区域的にはレベル5が進むと予想され、道路にセンサーが設置され、交通管制システムが図られるであろう。運送に関わる人たちが多いことを考えると緩やかな移行は労働のミスマッチを緩和してくれることだろう。