フォレスト・ダークを読んでみた  ニコール・クラウス 著 広瀬恭子 訳

  なんかとても散漫な本だなという感じです。2作の物語が1章ずつ交互に繰り返されて進むのですが、単にテルアビブという土地が共有しているだけで、時系列的な関係は不明です。



 その構成を見て思い出したのは、ル・クレジオの砂漠です。でもこの本は話が偶然の出来事が繋ぎ合わされて何の関係もないストーリーが語られるし、がさつな文章がより虚しく感じられ、題名もまた物語と無関係に付けられているようだ。

 作家の物語にカフカが出てくるけど、これもまた唐突でカフカらしいところは唐突なことが起きることだけど、ただそれだけで、カフカのようなモチーフというものは無いようだ。単にカフカを出汁にしているだけのようにしか見えないところが虚しい。

 でも、youtuberの動向を見ると国内では皮肉にもこの物語そのままのようにも思える。理は関係なく目の前の面白いことに投げ銭を入れる。もっともこの物語はお金持ちだけど、これほどのお金持ちがyoutuberの投げ銭を入れている人には思えないところがアイロニーなのかなと思えます。