三十九階段を読んでみた  ジョン・バカン 著  小西宏 訳

  1915年に書かれた英国の冒険スパイ小説の古典を読んでみた。本に付いている帯にはヒッチコック監督が映画化とも記されている。


 まず眼を引くのはエッチングのような魅惑的な絵で、描いたのはエドワード・ゴーリー、米国の絵本作家。階段の数をかぞえていませんが三十九段あるのでしょうか?でも崖を垂直に降ちているようで摩訶不思議。物語もまた同様なのかもしれません。
 千夜一夜物語の冒険段のような話で、扉にどんな途方もない小説でさえ、現実に起こっていることに比べると嘘っぱちに思える今日この頃と書かれています。確かに恵まれた展開で少々唖然としますが、ヒーローはいつも危機一髪を乗り越えるもんです。インディージョーンズなんてまさにハラハラして観ますけど、そういう意味ではエンターテイナーの始まりですね。

 題名の三十九階段は、なぜか本文になると三十九段となっている。きっと39段ではなんのことやらわからないので三十九階段、お話の中では海岸沿いで39の段数といえば階段だとわかるので39段なのでしょうか。

 文章も平易で展開もシンプルですので、コーヒーを飲みながら昼下がりにちょっとした冒険を楽しめます。