前作のサピエンス全史は歴史を著わした名著でした。それであるが故に置かれた我々がどの地点にいるのか、サピエンスとは何なのかを論理的にあらゆる角度から診ていた。著者の幅広い見識と同じ重みで物事を見比べて、本質にたどり着くアルゴリズムは驚嘆です。
そして、自作の本書はサピエンスがどこへ行こうとしているのかを著わしている。作者も言う通り予言書ではなく、可能性だと言うもののタイトルが示す通り、デウス=神なるものへ向かおうとしている。このように書くとスペクタル小説のようになってしまうが、そうではなく科学が不死を産むと言う予測である。
上巻は特に密度高く、筆者の推論に圧倒される。あまりにも現実的な出来事に思えるからだ。既にその兆候はあるし、ここ10年での移り変わりの早さを見ても実感できるからだ。
平均寿命が120歳になれば、現状の制度は成り立たない。そうでなくても年金はすでに崩壊を始めている。それに退職してからの方が長いなんてことはないだろうし、夫婦生活が90年というのも破綻が多くなると思える。不死を得た人が死ねない苦しみを味わう映画を思い出してしまった。
下巻は新しい主義は劇的なテクノロジーの発明から生まれるという説明。まさにその通りで、インターネットとコンピューターの世界が次なる世界観を産むと思われる。生物もまたアルゴリズムだということに生物学はなっているけど、野球や金融などは正しくその通りだと思う。機械学習などを学ぶと人が神になるのかネットワークが神になるのか、はたまた溶け合うのか、ネットワークにダイブする。
時間は存在しない
ティムール以降
死ぬまでに読んでみた100冊
知能の謎を解く「1000の脳」理論