青い眼がほしい  トニ・モリスン 著 大社叔子 訳

  1970年に出された米国作家の小説。黒人の少女の願いが題名になっているけど、米国の人種差別も含まれているけど、貧困、無教育、嘲笑、無視、怨嗟、性、神様、混沌の中に生きる。


 わたしで語るのはクローディアだけど、主人公はピコーラとその家族。でも、わたしがピコーラやその家族を語っているわけではなく、なぜクローディアだけがわたしで話すのだろうか?
 小説の終わりごろに出てくる青い眼をくれるソープヘッドは、ドストエフスキーが嫌いだといっているけど、彼の書いた文章はドストエフスキーを敬愛しているようで、カラマゾフの兄弟に書かれた大審問官を思い起こす。
 そして終わりにカタカナとひらがなで会話が続くのだけど、だれと誰なのだろうか。ピコーラ?青い眼と黒い眼?

 一見は具体的でリアルな空間が描かれているけど、結構複雑な構成で緻密に組まれているように感じる。ダリの時計がねじ曲がった絵を思い出した。