ステラ・マリスを読んでみた  コーマック・マッカーシー 著 黒原敏行 訳

  兄妹の物語のうち、妹がステラ・マリスという病院に自ら入院してセラピーを受けた記録の物語。兄の物語は通り過ぎゆく者という題名で同じ時期に発刊されている。


 妹は数学者であったけど、有名な数学者と同様に数学を止めて放浪の世界へと渡ってゆく。数学の話は天文学や量子論におよび哲学へとつながる、まあ数学も哲学も理論だけど哲学の場合は定義によって彷徨いやすいから、似て非なる物のような気もする。
 でもこの物語では神の出る場面が少なくて助かる。彼女に精神的なゆらぎがあるようには思えないのだけど、それでも好きなことを止めてしまうことは飽きたということなのだろうか。問いは多くあるのだと想うのだけど…