月の満ち欠けを読んでみた  佐藤正午 著

 生前の記憶を宿す少女が月の満ち欠けのように整然と連なる話、読み終えるとただ単に虚しさだけが新月に漂うばかり。


虚数はなぜ人を惑わせるのかを読んでみた  竹内薫 著

  虚数?聞いたことはある、自乗の結果が-1になる数字。√-1でiと記載するのだが、imaginary numberの頭文字、想像上の数字ということらしい。


約束を読んでみた  デイモン・ガルガット 著  宇佐川昌子 訳

  母が父に願った約束はアパルトヘイトの時代から、ずうっと残り続けてしまう。時代の移り変わりとともに家族もまた変貌してゆく。


ブラックホールを読んでみた  二間瀬敏史 著

  宇宙のブラックホールとミクロの量子論が何故か結びつくことを平易な言葉で詳しく教えてくれる知的に面白く深い本でした。


通り過ぎゆく者を読んでみた  コーマック・マッカーシー 著 黒原敏行 訳

  親愛なるひとを失って彷徨う者の話なのだけど物語りと言えるのかはわからない。多くのミステリアスなことが起きるのだけど…


ブルターニュの歌を読んでみた  ル・クレジオ 著  中地義和 訳

  フランスはブルターニュ地方へ10代前半に繰り返し訪れた日々を思い起こすブルターニュの歌と幼年期の第二次世界大戦での日々の暮らしを綴った子供と戦争の二話が収まる。


地下鉄道を読んでみた  コルソン・ホワイトヘッド 著  谷崎由依 訳

  アメリカ南北戦争より半世紀前、黒人奴隷の逃亡と自由を助ける組織を描いた物語り。

恐るべき緑を読んでみた  ベンハミン・ラバトゥッツ 著 松本健二 訳

 20世紀初頭の科学者の発明と逸話をもとに書かれた物語り、天才とキチガイは紙一重と言うけれど確かに行動はそうなのかもしれない。


ピアノを尋ねてを読んでみた  クオ・チャンシェン 著  倉本知明 訳

 ノンフィクションかと思って読んでみたら、普通に小説だった。 原題はピアノ調律者なんだけど、ノベルティらしい邦題になっている。


わたしを離さないでを読んでみた  カズオ・イシグロ 著 土屋正雄 訳

 日の名残りとは随分と離れた本だけど、日の名残で哀愁を帯びた筆致が共に生きた三人の情感に宿り、稀有な世界を照らす。