ウィーン室内合奏団(ゲルハルト・ヘッツェル)を聴く

  室内楽曲の音は楽器数が少ないのでなんとか聴き分けられることができ、オーディオの調子を診るにも良いし、織りなす調べにゆったりと身を任せる時間も心地良い。ベートーベン7重奏はベートーベンの初期の頃の作品だそうで、交響曲第1番のころだと言うからかなり初期の作品らしい、なんとも朗らかな旋律でいかにも午後の室内楽曲を愉しむ風情があり、ベートーベンの理屈っぽい重苦しさが無くて気楽に聴ける。楽器構成は、クラリネット、ファゴット、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスです。


 ウィーン室内合奏団を創設したゲルハルト・ヘッツェルは1971年にウィーンフィルハーモニーの第1コンサートマスターになった人で、1992年に山岳事故で亡くなっています。享年52歳と演奏者として充実した時期に惜しまれる事故です。そしてこの楽曲はその亡くなる1ヵ月前の録音なのです。ウィーンフィルのそうそうたる方たちですから、演奏は優雅そのもので旋律が美しく浮かび上がります。小春日和の午後に丸みを帯びた深みのあるティーカップにダージリンを濃い目に煎れて、クッキーを齧りながらしらべが流れてゆきます。