ヒンデミットを聴く

  ピアニストのアレキサンダー・メルニコフがアルトホルン、チェロ、トロンボーン、ヴァイオリン、トランペットと各々に演奏するソナタ集で、とても高音質なCDです。ヒンデミットはショスタコーヴィチと同じ年代で最後のクラシック世代と言えます。音を聴くと現代音楽を思わせる雰囲気がありますが、近代的な中に古典的なメロディラインもあって楽しめます。



 気鋭なピアニストで研ぎ澄まされた音を弾いてくれますが、決して緊張しすぎずにヒンデミットの音楽を表現してくれるメルニコフは構成力があるように思われます。最初のアルトホルンの響きとピアノの響きが時の流れを緩やかにしてくれそうに聴こえて特に印象的です。どの曲も楽器と楽器が美しく、時には生々しくて新鮮な驚きの内に聴き終わってしまいます。オーディオのリファレンスとしても素晴らしいと思います。