ヨハンナ・マルツィのコンプリートアルバムを聴く

  ルーマニア出身のヴァイオリニスト、1924年生まれで54歳と早くして亡くなられてます。NHK FMにてバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータが流れてきて、上品な中に力強さがあって気になっていたら、2022年にマスターテープよりPCM192kHzでリマスターされた9枚組のCDを見つけて思わず買ってしまった。


 バッハの無伴奏ヴァイオリンはミルシティンのCDがあって素晴らしいのですが、どことなく緊張して気疲れしてしまう面があってヨハンナの柔らかさに惹かれてしまったわけです。

 1955年の録音ですから、31歳と若いのですがとてもしっかりとした演奏でふくよかな弦の音色がとても印象的です。音も綺麗です、CDなので44.1kHzにダウンサンプリングされているのでしょうが、リマスターがしっかりしているのでしょう、1955年のMONO録音とは思えません。でも、オーケストラのあるブラームスやメンデルスゾーンはちょっと辛く、1954年録音で会場の大きさとマイクの性能の問題かも知れません。


 他にシューベルトのピアノとヴァイオリンの曲がCD3枚あり、シューベルトの風合いが気持ちよく奏でられて、ピアノのジャン・アントニエッティとのマッチングも良く温かい表情が良く録音もいいです。ハイレゾでユリア・フィッシャーの96kHz 24bitを聴くとさすがに現代録音であって透明感のある音でフィッシャーのヴァイオリンもクリアな音色でピアノも歩調を合わせており、時代における演奏や技術を聴き比べるのも面白いです。