ヘッドフォンアンプDACのMojoを買ってみた

 Chord社のポタアンDACであるMojoは2015年の発売で、すでに後継のMojo2がでています。随分と評判になったポタアンなので一度聴いてみたかったこともあり、中古のMojoを買ってみました。

 僕の場合は外で聴くことはないのでポタアンである必要はないのですが、インピーダンスの高いヘッドフォンも十分に鳴らせるという評判と何といってもDACチップを自社開発している点で、チップ会社の代物ではない点に惹かれたのです。

 もっともDACチップそのもので、どれくらい音質が変わるのかは分からないのです。CAMでもチップ+アナログ増幅になり、足しあわされた音なのだと思います。

 Mojoを見てすごいなと思ったのは、よくもこのサイズで8時間駆動できて高インピーダンスのヘッドフォンも鳴らせることができる点です。約82㎜ x 60mm x 22mm の大きさで重 量, 約180g 、持つと手のひらの中にすっぽりと納まり、しかもズッシリ感があります。これでしかも、2015年当時にPCM768kHz/32bit、DSD256(Dop)再生ができるのですから売れるわけです。


 まずは動作テストを兼ねてMacからイヤフォンはUE900を使って再生してみました。UE900の爽やかな音に力強さが加わって骨格のしっかりした音です。でもなんかちょっと変です、なんかザラッとしているなと思いながらLEDを見ると、44.1kHz再生になっています。ソースは96kHz/24bitですから、おかしいなと思ったらMacのAudio MIDI設定が変更してありませんでした。384kHzにしたらザラッと感が消えて、音の流れがスムーズに聞えます。ダウンサンプリングされたからと言って、違いを感じるようなことはなかったのですが、これがMojoの性能が高いということなのでしょうか、少なからず驚きです。


 マニュアルでは最高の768kHzに設定するように書かれています。Chordの設計者はPCMをアップサンプリングした方がいい音になると言っていて、DSDには好意的ではないようです。その考え方を反映できるのは、DACチップ自社設計の強みなのでしょう。

 ラズパイに接続しなおしてベイヤーダイナミックのヘッドフォンDT1990proで聴いてみます。インピーダンスが250Ωなので出力が求められるのですが、オーケストラの音楽ソースはダイナミックレンジが大きいのでコンプレッションがされておらずアンプとしてはきつくなるのですが、1時ぐらいに相当するボリュームで十分な音量になり、小柄なのに感心しました。

 音質的にはMojoの色合いがかなり出るようですが、DT1990proとの特徴とあいまって骨太な音になります。スケール感があって押し出しの強い印象で、繊細な高音域は少しウェット感が欲しくなりますが、DT1990proの高音がピーキーにならずにしっかり鳴ります。骨太の組み合わせだけあって、チェロ協奏曲なんかを聴くと低音の弦のうねりなどは迫力を感じます。

 MojoのDSDの再生はDop形式になるようですが、Volumioの設定をDSDdirectで聴いてみると再生できたのですが、サンプリングレートの表示が紫色になっています。どうもPCM352.8kHzに変換されるみたいで、これはおそらくVolumioの仕様でDSD256でもDSD64でもPCM352.8kHzになりました。



 Volumioの設定をDopに変更して聴くと白色の色に変わり、マニュアル通りの表示になりました。こちらもDSD256でもDSD64でも同じ色なので、ちょっとつまらないです。少し気になるのは、音楽の出だしで音が一瞬切れます。Volumioの音楽バッファの設定を変えても出るので初期の処理が遅れるのでしょうかね。

 PCMで聴いてもDSDで聴いても変わらないように聴こえるのですが、DSDの方がヴァイオリンの弦が滑らかに聴こえるような気のせいがします。Mojoはカートリッジで言えば、オルトフォンのSPUのような骨格のしっかりした音が出て頼もしく、SPUはいろいろな機器で聴いてもSPUの気風なのと同じく、Mojoの気風に機器が染まるように思えます。いずれにしても、どちらも長くベストセラーですね。