クジラと話す方法を読んでみた トム・マスティル 著 杉田真 訳

  作者はカヤックに乗ってカリフォルニアの海でホエールウォッチングを楽しんでいた。そこにザトウクジラが身を翻しながら空を飛んできて、豪快な水飛沫の中に二人は消えた。この映像がYou Tubeで公開され記録的なクリック数を起こす。


 そこからクジラに魅入られてこの本が生まれる。彼は撮影側の人なのに撮影される側にまわっているのが面白い。イルカやシャチもよくジャンプするけどクジラのジャンプ、いわゆるブリーチングは豪快だから危機一髪だったのに、さらに深みに嵌まる。
 イルカの鳴き声をフリッパーの声を聞いたけど、クジラの鳴き声は聞いたことがない。とても多くの鳴き方があり、パターンもあるようでどうもクジラ同士の符牒があるようだ。しかもかなり長い時間相互に話しているようだ。

 今では多くのタグをクジラに着けて会話を録音したり、行動範囲を調査しているようで、海を縦横無尽に泳いでいる様が記録されている。撮影された尾鰭から固有のクジラを探せるシステムもあって、素人が撮影した写真を投稿するサイトでどの彼らがどこへ移動しているかも解るようだ。人と同じで個々に違うスタイルをしていうようだけど、私には見分けがつかない。

 個々の姿の判別や声の解析にAIが駆使されているようで、本書の解説にその応用内容が多く記されていて、AIの勉強にもなる。AIが勝手に全てを解析してくれるわけではなく、多くの学習のために人の判断がいるわけで、間違った学習をすれば間違いの回答を出すことになるので、基本は人の判別が重要になる。
 そのうちにクジラの言葉が分かるようになるのかもしれないけど、人の言葉も国によって違うのだから、クジラもグループによって言葉が違うような気もする。でも、話せるのがクジラだけならいいけど、家畜の言葉も分かってしまったら
とても困るよね。まぁその時は菜食主義者になるしかなさそうです。