メロディ・ガルドー:レビュー

 マイ・ワン・アンド・オンリー・スリル

 ゆったりとして気だるいような唄い方はスローバラードが良く似合う。アコースティックなベースのうねりが彼女の歌声にからんで離してくれない。聴いた瞬間に虜にされるという雰囲気が醸し出される。

 どこまでもスムースでムーディーなジャズに少し枯れた声がゆったりと渚のようにおしてはひいてゆく時間が流れ、どこか擦り切れそうな神経のラインが生暖かい樹液に包まれるうちに穏やかに治るような、なんとなく重みがなくなり浮くような感じになってエンディングする。

 ノラ・ジョーンズのカム・ウィズ・ミーも売れるわけだと思ったけど、これもまた同様な思いになった。


サンセット・イン・ブルー

 5年ぶりの新作でスティングとデュエットした曲も入ってます。このアルバムには18曲のデラックスバージョンがありますが、13曲の通常盤を96kHz 24bitのデジタルソースを買いました。

 CDになってから1枚の曲数が増えてしまい、長いのだと60分を超えるのですが、飽き性な僕には長いバージョンはつらいです。できればデジタルソースで45分ほどに短くして価格を下げてくれるとありがたいです。

 アルバムの曲調はゆったりした曲が多く、彼女の気だるく物憂げな声色がデビュー時のアルバムを彷彿とさせます。でも声のトーンがすこし乾いてしまったように思え、ちょいっと粘ってからみとられるような部分が薄くなったのがちょっと残念です。

 話題のスティングとのヂュエットは良いのですが、こちらもスティングの声色がなんか柔らかくなってしまい、ちょっと冷たく突き刺す様な部分がなくなり、年齢を感じさせます。

 落ち着きのある唄声に、ベースの奥深く低いうなりがエマルジョンのように混濁して帳の落ちるころに気をやすめることが気持ちいいです。でもデビューアルバムの方がインパクトが強いですね。