フランク・キンボールのAncestorsを聴く

 Ancestors FRANK KIMBROUGH

 アメリカのジャズピアニスト。1956年生まれ2020年12月30日没、享年64歳で亡くなったあとにでたアルバムAncestors(祖先)を聴いた。タイトル名は収録曲に同名がある。


 コルネットとベースとピアノのトリオ、ドラムがないので落ち着いたメロディラインの曲調になります。どの曲もコルネットのちょっと深くて生暖かいフレーズが響くので曲ごとの特徴が不鮮明になってきます。

 でもそれがきっと沼に靄がかかりながら空に明るさがじんわりと拡がる雰囲気が醸し出されるのでしょう。幻想的な中にもたまに動物の鳴き声が響いてくるようなレクイエムです。

アンブローズ・アキンムシーレのオリガミ・ハーベストを聴く

 Origami Harvest AMBROSE AKINMUSIRE


 アンブローズ・アキンムシーレはニューヨークのトランぺッター、2008年にデビューして2018年5作目のアルバム、オリガミ・ハーベストを聴いた。アルバムタイトルのorigamiは折り紙なのだろうか?そうだとすると直訳で折り紙の収穫になる。収録曲に同じタイトルは無いのでアルバム名だけとなる。

ウォーターダンサーを読む  タナハシ・コーツ 著 上岡信雄 訳

  アメリカで奴隷制度が色濃く残っている時代に自由を求めて生きた神秘的な力を持った青年ハイラムの物語。


 ハイラムは奴隷制度のあるヴァージニアに白人の父と黒人の母に生まれたのだけど奴隷であり、幼いころの記憶がぼんやりとしていてウォーターダンスを踊る母の面影しか知らない。そんな記憶が呼び起こされるとともにウォーターダンスの伝説の力を知る。

ホモ・デウス ユヴァル・ノア・ハラリ 著 柴田裕之 訳

  前作のサピエンス全史は歴史を著わした名著でした。それであるが故に置かれた我々がどの地点にいるのか、サピエンスとは何なのかを論理的にあらゆる角度から診ていた。著者の幅広い見識と同じ重みで物事を見比べて、本質にたどり着くアルゴリズムは驚嘆です。

 そして、自作の本書はサピエンスがどこへ行こうとしているのかを著わしている。作者も言う通り予言書ではなく、可能性だと言うもののタイトルが示す通り、デウス=神なるものへ向かおうとしている。このように書くとスペクタル小説のようになってしまうが、そうではなく科学が不死を産むと言う予測である。

タムラ THS-30 MCトランスを組んでみた

  昇圧の倍率が10倍ほどのインプットトランスを探していた。SPU SynergyやGoldring Elite、audiotechnica AT33Saなどの出力電圧はそこそこあるので、低めの昇圧にして小さい音のボリュームの管理幅を拡げて、夜静かな時にボリュームの調整幅を拡げようと思った。


 当初は、ルンダールのLL1931あたりが良いなと思ったのですが、高いので海外から買おうかと悩んでいる内に円高になってしまった。入力トランスは海外製の評価が高く国産は低い傾向にあるけれど、いかがなものかと思い調べてみたところ、タムラのトランスが春日無線で売っているのですが、これも結構な値段で振り出しに戻ってしまった。

『罪人を召し出せ』を読んでみた

  ヒラリー・マンテル 著  宇佐川晶子 訳

 16世紀英国の宮廷における権力闘争を画いた作品で、ヘンリー8世の王妃アンの」凋落を枢機卿トマス・クロムウェルの視点を通して物語は進む。NHKの大河ドラマだと思えばわかりやすい。でも、教訓や感動するような場面はない。


 ヘンリー8世と言えば、カトリック教会に逆らってイギリス国教会を創出しおた人物として名高い、それも最初の奥さんと離婚してアンと結婚をするために。もっともそのおかげなのか、6人もお妃を取り替えている。

赤い高梁 莫言 著 井口晃 訳

 高梁とはイネ科モロコシの品種で赤い花が咲き、葉はトウモロコシにそっくりなので、トウモロコシのような実がなるのかと思いきや、大き目な粒の実が稲のように連なります。


 そんな高梁畑が雄大に広がるなかに起きた支那事変に対する抗日事件の物語です。主役は祖父と祖母になり、まごが「わたし」と称して物語を綴ります。そしてその「わたし」が作者の莫言かと思うほど、リアリティな文章でフラッシュバックやカットバックが多用され、まさに映像が明晰に映し出されて動き始めて映画を観ているような錯覚に陥ります。(紅いコーリャンと言う有名な映画の原作ですが、私は映画を観てはいません。)

高剛性ヘッドシェルと純銅リード線に変えてみた

  Ortofon MC30の音がどことなく音の出方がクスんでしまうような、そしてトレースが弱くなって高音域でかすれが僅かに出ている。古くなってダンパーにへたりが来ているのかもしれないが、取り付けてあるヘッドシェルもオーディオテクニカのMS-9と古いものだ。

 MS-9はマグネシウム合金なのだけど、白い泡を吹いていたのはマグネシウムの反応だと思われるし、ダンピングのために貼られている上面のゴムがボロくなっている。
 リード線はMS-9に付いていた銀リッツ線で、ヘッドシェル側は半田付けされたものが販売されていた。現在は半田付けされているものを見ることはない。

ムッシュー・テストを読んでみた ポール・ヴァレリー 著 清水徹 訳

  ムッシュー・テストを知ったのは小林秀雄の評伝に出てきたからで、1900年初頭のフランスを代表する知的な詩人であるポール・ヴァレリーの作品である。


 小林自身も詩から始まって評論へと移る経緯がポール・ヴァレリーと重なる点が面白い。誌を理解できるものが哲学的になることに何かしら違和感を抱くのだけど、ムッシュー・テストは哲学的でもあり詩的でもある。

真空管Tung-sol 12ax7を買ってセッティングを変えてみた

  真空管12ax7を1本買うことにしたのは、ペルケ式のフォノイコライザーを作る時に買ったエレハモが、なんと太っちょだったためにシールドカバー付きのソケットに嵌らず、東芝の真空管を入れたのです。そう東芝の真空管は中古しかないわけで、プリアンプに付いている物を外して予備にしたかったのです。

 Tung-solにした理由は買ったことのないブランドだったことと、ギターアンプでは人気があるようだけど、プリアンプやフォノイコに使ったらどんな音がするのかしらんと興味本位なところもあったのです。

 送付された段ボール箱を空けると、青と白の綺麗な真空管の化粧箱が出てきて、デザインの良さに感心します。ともあれ、不具合がないかチェックするのに300Bのアンプのプリ管を入れ替えてみた。