遅咲きの男を読んでみた  莫言 著  吉田富夫 訳

  21年6月に発刊された12編の短編集。とは言うものの中編に近い物語もあって、500頁近くもあります。主にエッセイ風ガリバー旅行記という印象を受け、要するに作家本人を出汁にして体制問題や汚染問題を画いてます。

 でも文体は非常に上手で構成も良く展開も心得ているから、ガリバー旅行記と同様に物語として十分に面白く、農家や鍛冶屋の描写は映画のように見えて驚きます。なんだかディケンズとデュマがいるようで、ハラハラドキドキした連続ドラマや涙ぼろぼろの人情ものなんかを描いたら釘付けになりそうで、代々幾千年も読み継がれることだろう。

グレン・グールドの才気あふれるピアノを聴く

 ゴールドベルク変奏曲 バッハ

 デェビュー作にして一躍有名なピアニストへ押し上げた作品。兎に角演奏時間が短い、ということは弾くピッチがとても速いということなのだけど、グレンの曲しか聴いたことがないので、何の違和感もなくスポーツカーに乗ったように景色が飛び去ってゆく開放感に浸ってしまう。


 この曲を弾く人がいなくて、このデビュー作がきっかけで他の方に取り上げられるようになったようだ。グレンが弾くからなのかも知れないけど、バッハらしさは無くちょっとスリリングな現代音楽に聴こえてしまう。

 1955年の録音だけどリマスターしたSONYのモノラル版をCDで買った。もともとがモノラル録音でステレオに変更したものもあるけれど、やっぱりオリジナルに近い方がいいと思い、こっちにしたのだけど大正解。とっても音が良く、ピアノのタッチが溢れてくるようなリマスターでした。

ペドロ・パラモを読んでみた  フアン・ルルフォ 著 杉山 晃、増田 義郎 訳

  メキシコの作家が1955年に書いた物語り、これがきっかけでラテンアメリカ文学の優れた作品が続いたと言われている。メキシコがラテンとは思えないけど、陽気な気質と荒くれな性格は似ているのかもしれない。この本でもその風雅が漂っていて、確かに似たような作品を思い出す。

生産終了になったDT1990proを買ってみた:レビュー

  どのヘッドフォンにしようかとずっと迷っていたのですが、Beyerdynamicの開放型DT1990proの生産中止を知って買いました。ヘッドフォンは種類が多くて悩むし、youtubeで簡易な試聴もできなくて困るんです。それに、ヘッドフォンアンプを作ろうと思って機材は買ったのですが、夏までに作ればいいと思い、未だ作ってないのでヘッドフォンも迷ったままでした。
 しかし、生産終了の報を見てダメだ買わないと、新機種のDT900Xも出て価格も手ごろになっているから、DT1990proも安くなっただろうと期待したのですが、なぁ~んとちょっとだけ値上がってる。それでも、ブラックフライデーで割引があって買いました。


目次
    1)音質について

イヴァン・フィッシャー マーラー交響曲1番 DSD256を聴く

  CHANNEL CLASSICSというクラシックレーベルがBlack Fridayということで、ダウンロードの楽曲を15%引きにしているのを見て買ってしまった。30周年記念のオムニバスをPCM44.1kHzに限って無料だったので以前ダウンロードして聴いたところ、実に録音がよいことを知り買いたかったのだが、ちょっとお高いので眺めていた。

 でもやっとCHANNEL CLASSICS でDSD256を買えたのだけど、近頃の円安でなんともはやです。22.1ユーロで約2,850円もしたけど、国内で買うよりはお得です。問題は買う楽曲でDSD256での再生ではオーケストラの音が良いと思うのですが、Iván Fischer & Budapest Festival Orchestraのシリーズはマーラーかブラームスで、すでにレコードがあるので迷ったのですが、やっぱりマーラーの1番なら好きなのでこれにしました。

砂漠を読んでみた  ル・クレジオ 著  望月芳郎 訳

  砂漠に生まれ育った二人の少年少女の眼から見た、砂漠に生きる人々のドキュメンタリーのように描かれている。物語の展開や内面的な思考がメインではない中で生きている空気の雰囲気が漂い、目の前に映像が流れているかのように文章に曳かれる。いわゆる文間を味わう妙味です。

 二人の少年少女はストーリーテイラーでもあり、主人公でもあるけれど、もう片側の主人公は二人の老人の生であり死であると思う。そして二人につながりはないけれども、青い民の末裔としての神話が支えているように思える。

エマーソン、レイク & パーマー(ELP)を聴く

 展覧会の絵

 ELPで最初に聴いたのがこのアルバム。もの凄い衝撃を受けたのとクラシックには全く無知だったのでカミさんに聞かせたら、ムソルグスキーの曲だと教えられて唖然としたのを覚えている。

 

レコードプレーヤーのターンテーブルシートを作ってみる

  ターンテーブルシートではコルクやフェルトやカーボンやら、いろいろな素材があって効能が謳われていて悩ましい。使った中ではパイオニアのJP-501が一番しっくりとくるので2台目のターンテーブルにも使おうと思のだが、結構な高値になってしまって指をくわえている始末。

 ターンテーブルによって音が変わるように聴こえたことはないのだけど、静電気の発生具合とか、レコードの密着具合とかが違うのは確かです。オーディオテクニカのアルミ製で中心がくぼんでいて、スタビライザーで密着するタイプはレコードの反りも矯正されていいのですが、勾配のあるところを針がなぞるのでなんとなくもやっとする気が起きる。

 付属のシートはゴム製なのだけど、ツルツルしていてレコードがスリップするような気がする。そこで、シリコン製のシートを敷いてみてはと思いつき、ダイソーで調べてみると、あったあったありました。キッチン用のシリコンマット、薄さ1㎜で300㎜×300㎜の大きさでちょうどイイ、しかも100円。



パイの物語を読んでみた  ヤン・マーテル 著  唐沢 則幸 訳

  トラと太平洋を漂流した物語。襲われずに生活したのだから、動物との共生の涙する物語かと思いきや、人の生きる根源の匂いがただようような気のする本です。でも沈没した船がツシマ丸という日本の貨物船っていうのがどうにも釈然としない。

 しかも、トーキョーをさかしまにしてみれば、動物が土砂降りに降ってくると書いてあり、こともあろうにオオカミまで入ってる。確かにとんでもないペットが逃げ出して大騒ぎしているし、下水道にはアナコンダや希少動物が居ると言われている。そうやっぱり野生動物なんだと本は教えてくれる。


オーディオテクニカ AT33Sa カートリッジを買ってみた

  代々続く33シリーズの中では異彩を放つ逸品だと思う。ボディのカラーが金ぴかではなく銀色なので、いぶし銀ではないかと思っている。そして何よりオーディオテクニカでは初めてシバタ針を使ったカートリッジなのです。

 

目次
    1)仕様について
    2)音質について
    3)トレースについて
    4)まとめ